蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ・かいこおきてくわをくう)の意味とスピリチュアルな過ごし方

季節の移ろいから感じる美しさや、ふと立ち止まって感じる心の機微。
それらは、私たちの内なる神性と静かに響き合い、魂からのメッセージを受け取りやすくしてくれます。
日本には、その繊細な変化を言葉にした美しい暦があります。
それが「七十二候(しちじゅうにこう)」──
一年を二十四の節気に分け、それぞれをさらに三つに分けた、まるで自然の息づかいを描いたような暦です。
この記事では、二十四節気・小満の時期に訪れる初候、
**蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)**という季節のサインに耳を澄ませていきます。
静かに命が動き出すその瞬間、
わたしたちの内なる“いのち”にも、何かがそっと芽生えているのかもしれません。

蚕起食桑の意味とどんな時期か
蚕起食桑の意味
蚕起食桑は、蚕が卵から孵化し、盛んに桑の葉を食べ始める時期を指します。
この頃、蚕たちは生命力に満ちた様子で桑の葉をかじり、その成長が本格化します。
蚕起食桑の時期
蚕起食桑は、二十四節気の小満の時期の初候、七十二候の一つで、5月21日~5月25日頃のことです。

蚕起食桑にちなんだコラム
養蚕は、命を紡ぐ祈りの営み
「蚕起食桑(かいこおきて くわをはむ)」──
この一節が七十二候に刻まれているのは、
きっと、ただの季節の移ろいではない
もっと深い“いのちの記憶”が眠っているからかもしれません。
かつて日本では、養蚕は暮らしと祈りを結ぶ大切な営みでした。
蚕は、桑の葉だけを食べ、
繭をつくり、
静かに命を終えて、美しい糸を人にもたらします。
その糸は、光を帯びるほど繊細で──
まるで魂の奥から紡がれた祈りのようでした。

東北に残る、蚕の神さま「オシラサマ」
東北の地には、そんな蚕と深く結ばれた神話が残されています。
「オシラサマ」。
それは、馬と娘の悲しい愛から生まれた、蚕の神さま。
禁じられた恋に怒った父が、馬を殺し、
娘はその首にすがりながら、空へと昇っていきました。
人の世の痛みと、命の別れの中から生まれたこの神は、
やがて桑の葉とともに祀られ、
農業と養蚕、そして女たちの守り神として、
静かに受け継がれてきました。

いのちの循環と、女性たちのまなざし
春になると、
村の女性たちはオシラサマに新しい衣をまとわせ、
布を重ね、言葉を重ね、
命のめぐりを祈ります。

それは、かつての祈りの繭を
いまのわたしたちの暮らしの中に、そっと結び直すような儀式。
そんな祈りの記憶を、わたしたちは今も、知らず知らずのうちに受け取っているのかもしれません。
たとえば──わたしが最近、着物に惹かれたのも、そんな“いのちの記憶”の導きだったのかもしれません。
一枚の着物に宿る、数千のいのち
ヨフィは最近、
セッションや日常の中で、
少しずつ着物やシルクを身にまとうようになりました。
何となく惹かれて、着てみた──
すると、着物という布の奥にある“静かな気配”に、
どこか心が引き寄せられるようになったのです。
そしてある時、知りました。
着物一反を織るために、必要な蚕の繭は 約2,000〜3,000個もあるということを。
思わず、言葉を失いました。
それまでただ「美しい」と思っていたこの布には、
それほど多くの命が、そっと織り込まれていたのだと。
蚕たちは、桑の葉を食べ、
繭をつくり、命を閉じ、
光となって、糸となって、
この着物として わたしの肩に触れている。
着物をまとうということは、
誰かのいのちとともに、生きていくということ。
そんなふうに感じてから、
毎日袖を通すその時間さえも、
祈りのようになりました。

何気なく選んだ一枚が、
わたしの魂をそっと育ててくれていたのかもしれません。
きっと、魂もまた──
日々の経験や感情をくるみながら、
静かに、でも確かに、自分だけの“光の糸”を紡いでいるのかもしれません。
蚕起食桑のスピリチュアルな過ごし方
蚕起食桑のスピリチュアルな過ごし方は、小満のスピリチュアルな過ごし方に準じます。
小満の魂と繋がるテーマは「まっすぐに伸びる」です。

編集後記:ヨフィひとこと

実はこの「蚕起食桑(かいこおきて くわをはむ)」、
1年前にも書こうとしていた候でした。
でも、そのときのわたしは──
「七十二候、全部さかのぼって書くには…ちょっと多すぎるかも」
と、少しだけ、尻込みをしてしまって。
結局、「紅花栄」からスタートしたこの季節のコラム。
その時、この候を書かなかったことを、少し悔やんでいたのを覚えています。
だけど、今──
こうしてあらためてこの時期に向き合ってみると、
あのとき書かなかったことに、ちゃんと意味があったんだと感じます。
この一年で、住まいが変わりました。
新しく建てたサロン兼自宅から、
家族の事情で、旦那さんの実家へ拠点を移すことに。
その中で、思いがけず大量の着物と出会い、扱うようになったのです。
茶道でよく着ていた頃もあったけれど、
いつしか日常からは遠のいていた着物。
そんな着物とまた出逢い直し、最近になって知ったんです。
着物一反を作るのに、2,000〜3,000匹の蚕の命が必要だということを。
それを知った瞬間、
なんでこんなにシルクが高いのか、
なんで着物って“重い”のか、
その答えが、心じゃなくて魂にストンと落ちた気がしました。
正直、それまでは「シルクって波動が良さそうだし、気持ちいいし」って、
軽やかに思っていただけだったの。
でも、「知る」ってすごいですね。
知ったとき、そこにちゃんと愛と祈りが生まれて、
その布をまとう手が、自然と丁寧になった。
今、わたしがこの候を書かされているのは、
きっと“今だからこそ”
あの命の糸の尊さを受け取れる自分になったからなんだと思います。
この時期に、もしよかったら、
みなさんも身のまわりにある“あたりまえ”に、
そっと想いを寄せてみてください。
きっと、そこにも何千もの、
静かな命の声が響いているから──。
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